日本では少子高齢化が進み、60代の働き方や収入状況は大きく変化しています。60歳を過ぎても働き続ける人が増える中で、実際にどのくらいの年収があるのか、また生活にどれほどの影響を及ぼしているのかは、多くの人が関心を寄せるテーマです。本記事では、60代の平均年収の実態、雇用形態ごとの違い、年金とのバランス、将来設計に必要なポイントについて詳しく解説します。
60代の平均年収の実態
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や国税庁の「民間給与実態統計調査」などの公的データによれば、60代の平均年収はおおむね以下のような傾向があります。
・60〜64歳:平均年収は約420万円前後
・65〜69歳:平均年収は約300万円前後
この金額は雇用形態、性別、地域、職種によって大きく変動します。特に定年後の再雇用やパートタイムで働くケースが増えてくる65歳以降は、年収が大きく下がる傾向があります。
正社員と非正規雇用で大きく異なる収入
60代の働き方には、引き続き正社員として勤務するケースもあれば、定年後に契約社員やパートタイマーとして再雇用される場合もあります。正社員として働く60代前半の人は、年収500万円を超えることも珍しくありませんが、再雇用制度などで契約社員になった場合は年収300万円以下になることもあります。
非正規雇用(パート・アルバイトなど)の場合、年収は100万〜200万円台にとどまることが多く、特に女性の場合はさらに低くなる傾向があります。これは、家事や介護といった家庭内の事情も影響しているためです。
公的年金との併用
60代になると、公的年金の受給も現実的な収入源となります。60歳以降すぐに年金を受け取る人もいれば、繰り下げ受給をして65歳以降にまとめて受け取る人もいます。厚生年金をしっかり納めてきた人であれば、月に14〜18万円程度の年金を受け取るケースが一般的です。
年金と労働収入を合わせると、生活に必要な基礎収入は確保できますが、旅行や趣味、住宅ローンの返済、医療費などを含めた「ゆとりのある生活」を望む場合には、さらに数万円〜十数万円の追加収入が必要となることもあります。
老後資金と収入のギャップ
老後に必要な生活資金については、金融庁が2019年に発表した「老後2000万円問題」が話題となりました。このレポートによると、夫婦で年金生活を送った場合、毎月約5万円の赤字が出るとされており、長生きすればするほどそのギャップが広がることになります。
60代で現役を引退することなく、少しでも長く働き収入を得ることは、こうしたギャップを埋める上で重要な選択肢です。特に健康であれば、週3〜4日勤務や在宅ワーク、副業なども視野に入れながら、無理のない範囲で収入源を確保していくことが現実的です。
地域差やライフスタイルによる違い
東京や大阪などの都市部では、求人の数や職種の選択肢が多く、年収の水準も地方と比べて高くなる傾向があります。一方で地方では、パートや短時間労働が中心となることが多く、年収は200万円台以下というケースも少なくありません。
また、住宅ローンがすでに完済しているかどうか、子どもが独立しているかなどのライフステージによっても、必要とされる年収は変わってきます。実際の生活の満足度は年収だけでなく、支出のバランスや生活コストによっても大きく左右されます。
まとめ:60代の年収と今後の働き方を見直すタイミング
60代は、収入面でも生活設計でも大きな転換期です。働き方次第で年収には大きな幅が生まれますが、どのような道を選ぶかは「自分がどんな老後を送りたいか」というビジョンによって決まります。
「生活費を補うため」「社会とのつながりを保つため」「趣味のための資金を得るため」など、目的に応じた働き方を見つけることで、収入と生活のバランスを保つことができます。
平均年収という数値を参考にしながらも、自分のライフスタイルに合った働き方・生き方を見つけることが、これからの60代にはより求められています。
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