副業を始めたけれど税金のことを考えていなかった!
副業を認める会社も増え、本業と副業で収入を得ているという人も多いと思います。収入が増えるのは嬉しいことですが、同時に考えておきたいのが税金のこと。
本記事では、副業と確定申告について解説していきます。
副業と税金
副業
副業とはサイドビジネスとも呼ばれ、本業+副収入を得ることです。昔はサラリーマンであれば副業・副収入禁止している会社が大多数でした。
しかし働き改革の流れを受け、昨今では一部の大企業でも副業が認められています。
20万円ルールの詳細
副業収入が20万円以下の場合
副業による年間所得が20万円以下の場合、所得税の確定申告をする必要はありません。
住民税の申告は必要ですので、自治体に対して申告を行う必要があります。
副業収入が20万円を超える場合
副業による年間所得が20万円を超える場合、所得税の確定申告を行う必要があります。
この場合、給与所得と副業所得を合わせた総所得に対して所得税が課税されます。
確定申告
確定申告は、その年の所得を計算して申告し、税金を納めることです。
1年間の収入と支出から自分の所得を出し、その額にかかる税金を計算して、期限までに確定申告書と必要書類を税務署に提出します。原則として確定申告対象の年の翌年2月16日から3月15日の間に申告しなければなりません。
確定申告が必要な人
以下のケースに当てはまる場合、確定申告が必要です。
- 事業所得があった人(フリーランス・個人事業主)
- 雑所得があった人(副業により所得など)
- 給与所得があった人
- 退職所得があった人
- 配当所得があった人
- 譲渡所得があった人
- 山林所得があった人
- 一時所得があった人
- 不動産所得があった人
原則会社員の場合は会社が源泉徴収をしていますので、別に確定申告をする必要はありません。
会社勤めの場合でも確定申告が必要な場合は以下の通り(※)です。
- 給与の年収が2,000万円以上である
- 1社から給与をもらっており、給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円を超えている
- 2社以上から給与をもらっており、副業(給与所得としてもらっている場合)の収入金額と給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円を超えている
※)上記は一例ですが、この他にもふるさと納税を6自治体以上行った場合や、初めて住宅ローン控除を受ける場合にも確定申告が必要です。
副業の確定申告で注意すること4つ
副業で収入があり、確定申告を行う場合は以下の点に注意が必要です。
- 副業の収入を確認
- 必要経費を記録する
- 住民税は必ず支払う
- 確定申告の方法と期間
副業の収入を確認
副業の収入が原則20万円を超えた場合は確定申告が必要です。副業の収入は、どのようにお金を受け取るかによって確定申告の扱いが変わってきます。
20万円ルールは所得税のみに関係してきます。
例1:本業の給与所得+副業の給与所得
本業(会社勤め)のほかに、コンビニなどでアルバイトやパートとして働く。給与を受け取る。
本業のかたわら、副業の給与所得が20万円以下の収入であれば確定申告は必要ありません。本業をしながら副業収入が20万円超えしている場合は確定申告が必要です。
地方自治体はその確定申告をもとに住民税を計算して徴収する仕組みとなっています。
例2:本業の給与所得+副業の給与所得+副業の雑所得
本業のほかに、アルバイトやパートとして働き、給与を受け取る。アフィリエイトでも雑所得を得ている。
「本業の給与所得+副業の給与所得+副業の雑所得」を得ている場合、「副業の給与所得+副業の雑所得」が20万円以下の場合は確定申告は必要ありません。
例3:本業の給与所得+副業の雑所得
ブログやアフィリエイト、YouTubeやSNS、フリマアプリで売買をするなどの方法で収入を得る。
この場合、ブログやアフィリエイト、YouTubeなどで得た収入は「雑所得」という扱いになります
会社勤めをしながら、雑所得を得た場合でもケース1と同じように、年間の副業収入が20万円以下の場合には確定申告は必要ありません。
所得は「売上-経費」のことです。そのため、例えばアフィリエイトで60万円売り上げた場合でも、経費が45万円の場合は所得が「60万円-45万円=15万円」となり、確定申告は不要です。
副業の所得には住民税が必ずかかる
副業の所得が20万円を超えていない場合でも、市区町村の役所に対して所得を申告する必要があります。
- 所得税:国に対して支払う「国税」
- 住民税:市区町村に対して支払う「地方税」
副業の所得には住民税が必ずかかりますので覚えておきましょう。
住民税と所得税の取り扱いは別です。
副業が会社にバレることはあるの?
副業が会社にバレてしまった多くの原因は、副業により加算された住民税にあるようです。
住民税は「普通徴収」と「特別徴収」の2つの支払い方法があり、「特別徴収」での支払いは給与から天引きされるシステムとなっています。給与から天引きした場合、本業の会社に給与と副業による所得の合計金額にかかる住民税の納付依頼が届きます。その結果副業をしている事が会社に明るみになってしまったとなるわけです。
最近では住民税の特別徴収義務化がすすんでおり、原則として住民税の特別徴収が義務付けられています。会社によっては普通徴収ができない場合があるので注意しましょう。
必要経費を記録する
上記例2にあるように、所得は「売上-経費」のことです。
雑所得の場合は経費として購入したもののレシートや領収証をきちんと保管しておきましょう。必要経費をしっかりと記録し、レシートを保管しておくと所得計算もスムーズに記録でき、無駄な税金を払ってしまったということを防ぐことができます。
副業所得が20万円以下でも確定申告をした方が良い6例
副業の所得が20万円以下でも確定申告をした方が良いケースはいくつかあります。
1. 医療費控除を受ける場合
一年間に支払った医療費が一定額を超える場合、医療費控除を受けることができます。副業の所得が20万円以下であっても、医療費控除を申告することで税金の還付を受けることができるため、確定申告を行うべきです。
2. 雑損控除を受ける場合
災害や盗難、横領などによって資産に損害を受けた場合、雑損控除を受けることができます。損失の補填として税金の還付を受けるためには確定申告が必要です。
3. 寄付金控除(ふるさと納税を含む)を受ける場合
ふるさと納税を含む寄付金控除を受ける場合、寄付金の一部が所得税から控除されるため、確定申告が必要です。これにより、税金の還付を受けることができます。
4. 住宅ローン控除を受ける場合
住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、住宅ローン控除を受けることができます。この控除を受けるためには確定申告が必要です。
5. 配当所得や一時所得などがある場合
副業以外にも配当所得や一時所得がある場合、それらの所得と副業所得を合わせて確定申告をすることで、所得控除や税額控除を適用し、税金の還付を受けることができる場合があります。
6. 年末調整で控除しきれなかった場合
年末調整で全ての控除を適用できなかった場合(例えば、年の途中で退職した場合など)、確定申告を行うことで追加の控除を受け、税金の還付を受けることができます。
確定申告のメリット
確定申告を行うことで、以下のようなメリットがあります。
- 税金の還付: 所得控除や税額控除を適用することで、税金の一部が還付される可能性があります。
- 控除の適用: 様々な控除を適用することで、課税所得を減らし、結果として税負担を軽減することができます。
- 正確な納税: 副業収入を含む全ての所得を正確に申告することで、税務上のトラブルを避けることができます。
副業の所得が20万円以下であっても、上記のような場合には確定申告を行うことで得られるメリットがあります。自分の状況に合わせて適切に申告することが重要です。
副業をしたのに確定申告をしなかった場合は?
副業をしたのに確定申告をしない場合、以下のような問題やペナルティが発生する可能性があります。
追徴課税
確定申告をしなかったことで、税務署から指摘を受けると、本来支払うべき税金に加えて、無申告加算税や延滞税が課されることがあります。無申告加算税は、期限後申告を行った場合でも、税額の10%が加算されます(税務署から指摘を受けた場合はさらに加算されます)。
延滞税は未払い税金に対して日割りで課される利息のようなものです。
罰金やペナルティ
悪質な場合は、重加算税が課されることがあります。重加算税は、意図的に所得を隠したり、虚偽の申告をした場合に適用され、税額の35%から40%が追加されることがあります。
住民税の未納
副業所得がある場合、その所得に対しても住民税が課されます。確定申告をしないと、住民税の申告も漏れる可能性があり、住民税の未納となることがあります。これにより、地方自治体からのペナルティが課されることがあります。
将来的な信用への影響
税務上の問題が発生すると、将来的に住宅ローンやその他のローンを申請する際に信用情報に影響を与える可能性があります。また、税務署からの監査対象となり、過去の所得や経費について詳しく調査されることがあります。
確定申告の方法と期間
確定申告の方法は4つあり、自分に合った提出方法を選ぶことができます。
- 税務署に直接提出
- e-Tax(国税電子申告・納税システム)
- 郵便または信書便で税務署へ郵送
- 税務署の時間外収集箱へ投函
e-Taxを利用する場合、事前に登録手続きが必要です。
確定申告はいつ?
提出期間は確定申告対象年の翌年2月16日から3月15日までが一般的な期間です。確定申告を行わなかった場合は無申告加算税が課されますので、しっかりと提出期間内に確定申告を行いましょう。
確定申告をしない場合のリスク管理
- 収入の記録を徹底する
- 副業の収入や経費をきちんと記録し、適切な申告を行うことで、税務署からの指摘や追徴課税を避けることができます。
- 専門家に相談する
- 確定申告が複雑な場合は、税理士などの専門家に相談することを検討してください。正確な申告と適切な節税対策をアドバイスしてくれます。
- 早めの対応
- 確定申告の期限を過ぎてしまった場合でも、早めに自主的に申告することで、無申告加算税や延滞税を最小限に抑えることができます。
まとめ
最近では副業を認める会社も増え、本業と副業とでダブル収入を得ている方も少なくありません。副業を行う際には、税務に関する知識を持っておくことが重要です。確定申告は複雑ですが、毎年行う必要があります。
税金はよくわからない、という人は税理士に相談してみるのも一つの手です。申告期間内に確定申告を行わないと、追加で無申告加算税が課されてしまいますので注意しましょう。